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少し前から、小説を書き始めた。

小さい頃に漫画家になりたかった私は、
いままでにいくつかのお話を考えたことがあり、
一つは完成して、2人の友人に読んでもらった。
たぶん、高校を卒業したときだったと思う。

1人は後に大学で演劇サークルに入って脚本を書くような男の子で、
好意的だが、決して褒めてはいない感想をもらった覚えがある。
もう1人はTちゃんで、彼女は、私がその小説の存在を忘れていたのに、
律儀にずっと手元に取っておいてくれて、いつだか返してくれた。

思いがけず、ひょっこり出てきた青春の思い出は、
顔から火が出るほど恥ずかしかった。

Tちゃんからは、感想をもらわなかったと思う。
大学時代にTちゃんが暮らしていた大学の寮の住所が書かれた
封筒に入った、その小説は、今は私の家のどこかに存在している。

Tちゃんが亡くなってから、私は頭の片隅でずっと何かを考え続けていて、
それを何とか文章として表せないかと、物語を書いてみることにした。
Tちゃんに向けた、ラブレターのようなものかも知れない。

途中で放り出さずに完成させるべく、
書いていることを誰かに告げておこうと、ここに記した次第である。