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自転車を買った。

私は埋め立て地の街で育ち、自動車免許を取得するのも遅かった。
移動手段を徒歩や自転車でまかなっていたが、
結婚して移り住んだ所は坂の町だった。

ときおり「あったら便利」と思い出す程度で、自転車とは疎遠になった。
最近になって、一人の移動なら車を出すより使い勝手が良いかもと、
にわかに自転車購入案が浮上した。

周囲のママさんからは「電動機付きを買うべきだ」と言われながら、
結局はホームセンターでアナログの自転車を選択した。

喜び勇んで いざ またがり、軽快に漕ぎ出してすぐに停止した。
平面に見える道路が実は緩やかに上っていて、膝に来るのだ。
車や歩いているときには分からなかった傾斜が伝わってきた。

膝にくるってことは、運動している証拠だから。
やせ我慢をしつつ、しばらく頑張ってみようと、自らを鼓舞した。
帰宅すると、顔も上気して赤くなっていた。


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ブログに書こうとパソコンを立ち上げて、まずはカナさんのページに飛んだ。 (Click!) 
読み終わり、ふと自転車にまつわる自分の昔の出来事を思い出した。

まだ実家に住んでいた、たぶん三十路を越えるかどうかの頃、
出勤のためチャリに乗って駅に向かうと、停電で電車が止まっていた。
あと数時間は運行しないという報せを聞き、私は決めた。

会社まで、自転車で行こう!
勤め先までは電車で4駅程だったし、方向も何となくつかめるからと
やったるJ!と張り切ってペダルを漕ぎ出し、すぐに後悔した。

行けるには行けたが、道に迷うわ膝は笑うわで、
思いつきで行動する自分を、道々で思い切り罵っていた。
間抜けなことに、その日は私の誕生日だった。

それまでの人生で、思い立ってはすぐ行動に移り、
悔いたことは数え切れないはずなのに。
「いつになったら落ち着いた大人の女になるのだろう…」と、呆然とした。

その日から10年近くを経て、私は今月末には30代最後の年を迎える。
相変わらず、自転車に乗っては浮かれ、全く落ち着いていない。

スマートな大人の女に夢見るのは諦めて、
うっかりのまま生きる決意をしようかしら。
ああ膝が痛い。
学生の頃、新聞を読み比べてみると勉強になると言われて、
図書室で並べたけれど 違いが よく分からなかった。

最近の世情について、朝のラジオが各紙一面の見出しを引いて伝えてくれる。
それぞれの立ち位置が鮮明だったり透けていたり、
なるほど確かに比較から分かることもあり、興味深い。

ニュースが知らせてくれる、誰それの発言や会見に心を騒がせていたけれど、
発表された言葉より、語った人の行動に本心が出ているのかもと思ってから、
いくぶん落ち着いて世の動きを眺められるようになった。

言葉に惑わされず行動で見極めろって、あれ?
これ、恋愛の話でしたっけ。