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今月から娘も幼稚園に通い出す。
祖父母や先輩ママさんからは、
「楽になるね。良かったね」と明るい反応がくる。

まだ子どもにかかりきりの後輩ママさんは、
「うちは後1年あるから羨ましいなぁ・・・」と ため息が混じる方もいるし、
「ちょっと寂しくなりそう~」と言う方もいる。

私が空いた時間の計画を立て、
「平日にも髪を切りに行ける」と話すと、
夫は「いいねえ。楽しそうだねえ・・・」と答える。

嫌味まではいかないけれど、
「俺の生活は変わらないのに、君はいいよね~」
嫉むようなニュアンスが すこしばかり入る。

あんまり「楽々」言われるのは、まるで悪いことをしているようだし、
「数時間、自由になるだけだもん」と胸中で反発もする。

そんな中、顔なじみの保育士さんと役所でばったり会ったとき、
やはり「ママも楽になるね。よかったね」と言われ、
さらに「ここまで頑張りましたね」とねぎらいの言葉が続けられた。

さすがプロと感心しきり。
私は2ヶ月に1度くらい、肩こりや腰痛対策で鍼治療に行く。
個人の診療院で、施術してくれる人と色々な話をする。

大学の単位が足りずに卒業できない悪夢を よく見ると言うと、
パッと見 まじめそうな私が、
実際に卒業が危なかったなんて意外だと笑われた。

治療に当たってくれる方は60代の男性で、
ずいぶん前に亡くした お父様が、最近になって夢に出てくるそうだ。
「お迎えでしょうか?」と冗談めかすので、「嫌ですよ~」と私は混ぜ返した。

3月になって各地で桜の話題が出る頃に、
私は数年前の花の季節に亡くなったTちゃんを頻繁に思い出す。
彼女が頭に浮かび、いまだ涙が止まらなくなることもある。

でもTちゃんが夢に出てきたことは無い。
覚えている限りでは、おそらく1度も。

「親しい友人だったので、出てきてもおかしくないのに」と私が話すと、
鍼灸師さんは少し間を置いてから言った。
「本当に良好な関係だったから、 思い残すことが無いのかも知れませんね」と。

背中にチクチクとした痛みを受けながら、
そういう考え方もあるのかと思った。

理由を深く考えたことはなかったけれど、改めて振り返れば
Tちゃんの性格だと わざわざ夢に出てきて挨拶しなさそうだな。