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先日、安藤裕子のアコースティックライブに行った。
安藤裕子はマイブームの時期が過ぎ、今は時おり聴く程度で、
近年のアルバムは耳をつるつると流れてしまう曲が多い。

歌は不思議だ。
いっときは狂ったように聞き惚れた歌手でも、
ふっと心が離れて興味を失ってしまう。

もちろん好きだった時期の曲はいまも身近で
思い入れも同じだけれど、時とともに人は変わるものゆえに、
発信者と受け止める自分の心の角度が沿わなくなる。

飽きたならばまだしも好きなだけに、合わないことが寂しくて。
音楽好きのTちゃんも、以前「なんでだろうね」と
考え込んでいたことを思い出す。

酔えなかったらという心配もあったけれど、
ライブ会場が自宅から気楽に向かえる距離だったので、
まあ息抜きがてらと出かけてみた。

ところで家を出る際に下の子は寝ていたけれど、
上の子は起きていて眠さで機嫌が良くなくて、
私が出かける気配を察知して引き止め始めた。

その口説き文句が「外は寒いよ。お家で遊ぼうよ」。
脳みそ使って少ない語彙を集めて考えている様子に切なくなった。
テレビで坂上忍が「難しいのは親離れではなく子離れ」と言っていた。
まさに その通り。

そんなやり取りがあったせいか、
ライブ一曲目が「鐘が鳴って 門を抜けたらなら」という曲で、
「たまには ここに帰っておいで たまには笑顔を見せにおいで」という歌詞に
息子が巣立つ未来を重ねて泣けてしまった。

結果として、ライブは心臓わしづかみ涙るいるいで終わった。
良い意味で、前より歌が上手くなった気もした。
ピンと来なかった最近の曲も、CDより聞き入った。

歌って、本当に不思議だなぁ。
書こうと思って忘れていたことがあった。
年中に上がった息子のクラスでの顔合わせがあり、
円座になったお母さん方が次々に短い自己紹介をした。

私の順番になり立ち上がって簡単に挨拶をすると、
同じ教室で遊びながら待っていた息子が、
「おかあさん、すご~い」と褒めてくれた。

「すごくないよ」と照れ隠しをしたけれど、嬉しかった。
素直に褒めてくれる、あんたがすごい。