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娘にせがまれて、ひざの上に彼女を乗せてブランコを漕いだ。
座る部分がゴムなので当たりが柔らかくて良いけれど、
なぜか収まりが悪いと理由を考えたら、私のお尻が大きいからだった。

公園のブランコに揺られる姿は子供に限らず、
青春まっさかりの学生同士が恋を語り、悲哀に満ちた老人が歌を口ずさむ。
色んな場面があるけれど、体や心に年輪は刻まれて、座り心地も違うのだな。
散歩の帰り道、いつもの坂で いつものように娘が指し示す。
視線の先は、木々に埋もれた二階建ての駐車場、上の階。
年代物の赤い車が停まっている。

いつの頃からか なぜか娘は、ベビーカーで眠りこけている以外は必ず
その車の存在を私に伝えるようになり、私は
「赤い車だね。珍しい車なんだって。お友達が教えてくれたよ」と答える。

もっと他に鮮やかな色の車は走っているのに、
娘は他の乗用車にはあまり興味を示さない。不思議だ。

私は艶のない車体を見上げる。
あなたもTちゃんのように、
自分だけの宝物を見つけられる視点を持つのかな。 (Click!)