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星野源の新譜を買った。

発売前から気になっていたけれど、
ラジオ等でしか聴いたことがなかったし、
自分に合わない“外れ”だったらイヤだなと躊躇していた。

CDショップに行ったとき、化粧品のCMで使われた
「夢の外へ」をヘッドフォンで試し聞きした。
CMでは曲の提供だけでなく、「優しい声」を買われて
彼がナレーションも担当したと何かで読んだ。

確かに声は素敵だけれど 好みという程でもなく、
旋律や歌詞にも、決め手がとなる特徴が私には見つけられない。

でも気になる。
倹約を旨とした損得勘定は脇へ置き、
今回は連れて帰る理由をそこに求めよう。

Tちゃんなら、星野源についてどう語るだろう。
音楽に詳しかった、亡くなった友人を思い描きながら、
自宅のCDプレーヤーのスイッチを押す。

店舗で聴いたときも、彼女を思って泣きそうになった。
そうして心の奥底に触れてくるのが「優しい」のなせる技ならば、
毒にも薬にもならなさそうな振りをして、強力な武器だなぁ。
今朝は息子を通園バスに乗せず、一緒に歩いて幼稚園に向かった。
先生に託して帰り際に園庭を眺めていると、
遊んでいた一人の男の子が「あ!○○のママだー!」と寄ってきた。

○○の部分には息子の愛称が入ったが、男の子の顔に覚えがない。
娘の持っていたオモチャについて会話しつつ記憶を探り、
名札もチェックしたが、やっぱり分からない。

「じゃあねー」と手を振って去り行く帽子が上級生の色だったので、
近所の女の子のクラスメイトかも知れないと検討をつけたが、
なぜ私の顔を知っているのかと謎は残った。


徒歩通園にした理由は、バス到着の数分前に
停留所でウンコをもらしたからだった。

「パンツ換えて出直します」と頭を下げてバスを見送ると、
幼稚園に行けないと勘違いした息子は大泣きし、
「幼稚園は逃げないよ」と周囲のお母さん方に宥めてもらった。

パンツ新たに自宅を出るときに笑顔は戻ったが、
近道しようとバス通りと異なる路地を進むと
「やはり行けないのか」と疑い、またしても大声で泣き出した。

泣きたいのはこっちだと腹が立った。
しかし鼻の両穴から盛大に鼻水を垂らして歩く姿から、
彼の必死さが伝わってきて思わず笑ってしまった。


幼稚園に到着すると、先生に「どうしたー○○」と愛称で呼ばれ、
背中を優しく押されて玄関に入っていった。

泣く程に幼稚園が好きで、親の知らない友達もできて、
先生にも可愛がられて。上手に馴染んでいるじゃないか。
幼稚園でもらさなかっただけ、よしとしよう。

うんうん。